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摩擦特性
ナイロンの耐摩擦特性はすぐれており、この特性が多数の用途に適用されています。
自己潤滑性にすぐれているため、通常は潤滑剤は不要ですが、高荷重、高速度回転の場合には潤滑剤を用いることをお薦めします。なお、水その他の液体も摩擦面に対して潤滑効果を示しますが、水潤滑は一般に高い摩擦係数を示します。
また、摩擦係数はナイロンの種類によって著しい差はありません。
図41に荷重、潤滑条件による摩擦係数の変化を示します。

図41. 荷重、潤滑条件による摩擦係数の変化(すべり速度14m/min)
また、表8は各種組合せによる軸受の摩擦量と摩擦係数の関係をナイロン66について示したものです。
組合せ | 潤滑油 | 荷重 (MPa) |
すべり速度 (m/min) |
摩擦量 (min/0.5hr) |
平均摩擦係数 |
---|---|---|---|---|---|
ナイロン-鋼 | 水 | 4.4 | 47.5 | 0.234 | 0.494 |
ナイロン-鋼 | SAE No.10 | 11 | 47.5 | 0.127 | 0.140 |
ナイロン-ナイロン | なし (RH 80%) |
7.4 | 47.5 | 0.041 | 0.039~0.099 |
ナイロン-ナイロン | なし (RH 80%) |
3.6 | 47.5 | 微量 測定不能 |
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ナイロンの摩擦挙動の特徴としては、金属のように時間に比例して摩耗せず、初期の進行が大きいことです。1例として図42に焼結青銅とナイロン軸受の摩耗挙動の比較を示します。

図42. 焼結青銅とナイロン軸受の摩耗挙動
またナイロンの摩擦係数および摩耗状況は表面の結晶状態によって異なり、成形後熱処理などを行うことにより結晶化が進むと摩擦係数の低下、摩耗量の減少が見られます。図43に各種ナイロンの摩擦特性に対する熱処理の影響を示します。
ナイロンの摩耗特性は二硫化モリブデンやグラファイトを添加することによって向上しますが、これらの物質が固体潤滑剤として作用すると同時に核剤として作用して微細な結晶を密に発達させるためと考えられます。図44にナイロン66に対する二硫化モリブデン添加効果を示します。
また、二硫化モリブデンとグラファイトの添加効果を図45~46に示しますが、二硫化モリブデンの方が少量で大きな効果をもたらすことがわかります。
図43. 各種タイプのナイロンの摩擦特性
図44. ナイロン66の摩擦に対する二硫化モリブデン
添加の効果(滑り速度:48.8m/min)
図45. 添加剤入りナイロン6の摩擦係数の荷重依存性
図46. 添加剤入りナイロン6の摩擦量の荷重依存性