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成形不良とその対策
充填不足(shortshot,Shortmolded)
Ⅰ. 現象
金型キャビティに充満されていない不完全な成形品となる現象
Ⅱ. 原因
- 射出成形機の性能不足(射出容量、可塑化能力など)
- 材料の流動性の悪さ
- ゲート断面積の小さすぎ、成形品の肉厚の薄さ。
- ガス逃げ不良
Ⅲ. 対策
<成形機>
- 材料供給量を増す。最大容量で不足の場合は大型機へ変更
- 逆流防止弁付のスクリュー を取付ける。
- 射出圧力を高くする。
- シリンダー温度の設定点を高くする。ノズル温度も高くする。
- ヒーター断線がないか確める。
- ノズルがつまっていないか、ノズルづまりがひんばんに起る時は、金型温度を高めるか、サイクルを早く する。
- 射出スピードを早める。
<金型>
- 金型温度を高くする。
- 金型のガス逃げを大きくする。
- ゲート断面積を大きくする。
- 成形品の肉厚を増す。
- 成形品に流動性をよくするためのリブをつける。
<材料>
- 低粘度のハイフロータイプを選ぶ。
- 表面潤滑剤をまぶす。添加率は0.05~0.1%(重量比で)
波紋(flow mark)
Ⅰ. 現象
ゲートまたは細ぐ絞られた個所を中心とする年輪状の細稿が成形品表面に発生する現象
Ⅱ. 原因
溶融ポリマーが金型中で急冷されて高粘度となり、凝固はじめた時に後続する溶融ポリマーに押されて細い稿状 になる現象。
Ⅲ. 対策
<成形機>
- ノズル径を大きくする、ノズル温度を高くする。
- 射出スピードを早くする。
- 射出圧力を高くする。
- シリンダー設置点を高くする。
- クッションを少なくする(チャージング量を減らす)
<金型>
- 金型温度を高くする。
- 冷塊だまりをつける。
- ゲート断面積を大きくする。
- 金型冷却水の位置をゲートから遠ざける。
<材料>
- 表面潤滑剤をまぶす。
銀条(siiverstreaking)
Ⅰ. 現象
材料の流動方向に銀白状の条痕が発生する現象
Ⅱ. 原因
- 材料が吸湿、吸水している。
- 材料に異種の材料が混入している。
- 成形中に空気混入が起こっている。
- 漆加剤が多量に混入している。
Ⅲ. 対策
<成形機>
- スクリュ背庄をかけ練り効果をあげる。
- 射出速度を遅くする。
- 成形機のシリンダーの洗浄を完全にする。
<金型>
- ランナー 、ゲートを大きくする。あるいは小さくする。
- 金型温度を上げる。
- ゲート位置を変える。
<材料>
- 予備乾燥を充分にする。
- 赤外線ランプをホッパー中に設ける。
- 異種材料の混入があるかしらべる。
ウエルド・ライン(poor weld line)
Ⅰ. 現象
材料が二方向以上にわかれて流れ、ある距離流れた後に再び合流する時に生ずる毛髪状の細線を呈し、強度が低くなったり、やけや気泡を起す場合の成形不良現象。
Ⅱ. 原因
- 材料がキャビティ内を分岐して流れ、再び合流するため。
- ポリマー温度が低すぎて、完全に融合しないために生じる。
- ガスや空気の逃げが困難なため、
Ⅲ. 対策
<成形機>
- 樹脂温度を高くする。
- 射出圧力を高くする。
- 射出速度を早くする。
<金型>
- ウエルド・ラインの生じる個所へ冷塊だまりをつける。
- ガス逃げをつける。
- ゲート位置を変える。またはゲート数をふやす。
- 離型材を使わない。
- ウエルド強度がどうしても低くなる場合は外力の影響の少ない個所へ出るようにゲート位置を変える。
<材料>
- 低粘度のハイフロータイプを選ぶ。
巣(void)
Ⅰ. 現象
成形品の内部に空孔ができる現象
Ⅱ. 原因
- 材料の溶融状態から凝固にいたる過程の密度変化
- 成形品の表面は金型壁から直ちに熱をとられ、ポリマーが固化する。
そのため外部からポリマーを引きつけ、その結果肉厚部に全収縮量が集中して空孔を生じる。肉厚6mm以上の成形品ならば一般に巣の発生は防ぎがたい。 - 空気を巻き込んで空孔を作る場合がある。
Ⅲ. 対策
<成形機>
- 射出圧力を高くする。(二次圧も高める)
- 射出時間を長くする。
- シリンダー設定温度を下げる。
<金型>
- 成形品の肉厚を6mm以下にする。強度が必要なら数多くの均一な肉厚の補強リブをつける。不必要な肉厚をつけない。
- ゲートを大きくする。(材料の補充填を可能にさせる。)
- ランナーを短くする。
- 金型温度を低くする。また均一にする。
- 空気の巻き込みが起らないようにゲート位置を変える。
<材料>
- 材料を充分乾燥する。
- 高粘度のグレードを選ぶ。
ひけ(sink mark)
Ⅰ. 現象
成形品の表面が凹む現象、とくに厚肉成形品に多く見られる。
Ⅱ. 原因
前項の巣の発生原因と同じであるが、表面の冷却が遅れる場合に生じる。
Ⅲ. 対策
<成形機>
- 材料の充填量を増す。
- キャビティ内圧力(二次圧)を高くする。
- シリンダー設定温度を下げる。
- 射出率を高くする。
- 射出速度を早くする。
- 射出時間を長くする。
<金型>
- 金型温度を低くする。
- 金型温度を均一にする。
- ゲートの位置を変える。
- ゲートを大きくする。
- ランナーを短くする。
<材料>
- 粘度のグレードを選ぶ。
そり(warpage)
Ⅰ. 現象
金型彫込みでは真っ直ぐなはずなのに成形品が成形直後ないしは成形後にそってしまう現象。
Ⅱ. 原因
成形における残留応力が変形して解放される。
Ⅱ. 対策
<成形機>
- 射出圧力を低くする。
- シリンダー設定温度を低くする。
- 冷却時間を長くする。
<金型>
- 成形品の肉厚を均一にする。
- アンダーカットをなくす。
- ノックアウトピンを均等に作動させる。
- ノックアウトピンを多数つける。
- ゲート位置を変える。
- 金型温度を低くする。
かみこみ不良
Ⅰ. 現象
材料の計量のための供給の際、スクリュが回転はするがかみこんでいかない現象、または回転しなくなる現象。
Ⅱ. 原因
材料と材料、材料とスクリュー、材料と加熱シリンダとの摩擦係数が異常に低いか、高い場合におこる。
Ⅲ. 対策
<成形機>
- 逆流防止弁つきのスクリュを取付ける。
- スクリュはショートコンプレッション・タイプを選ぶ。
- シリンダ設定温度を変える。空回転の場合は下げ、回転不能の場合は上げる。
- シリンダー・ヒータの断線が起こっているかしらべる。
- 空射出を5ショット以上つづける。
<材料>
- 表面潤滑剤をまぶす。
- 材料の粒の大きさをそろえる。
離型不良(sticking of parts in the mold)
Ⅰ. 現象
成形品の離型は金型可動型に吸いつくようにして開型し、突出しピンによって押出して離型させるのが一般である。しかし金型固定型に残ったり可動型に強くはりついて突出しピンが成形品を突破ったりする現象を云う。
Ⅱ. 原因
金型の抜き勾配が小さすぎたり、成形の残圧が大き過ぎたり、収縮が大きく起ったり、金型の仕上げが成形品の離型方向に直角であったりこのような原因で起る。
Ⅲ. 対策
<成形機>
- 射出圧力を低くする。
- シリンダ設定温度を下げる。
<金型>
- 金型の抜き勾配を大きくする。
- 金型の仕上をよくする。
- アンダーカットをなくする。
- 金型温度を適正に設定する。箱状の成形品では固定型が低温の場合、固定型につくので注意を要する。
- 離型剤を塗布する。
やけ
Ⅰ. 現象
成形品が変色したり、茶褐色状のすじが入る現象
Ⅱ. 原因
材料の熱分解
Ⅱ. 対策
<成形機>
- シリンダ設定温度を下げる。
- 中間時間を短くする。
- ラムの後退している時間が長すぎる。
- 出速度を遅くする。
<金型>
- ガス逃げを大きく作る。
- ゲートを大きくする。