良流動性

一般に液晶ポリエステル樹脂は、PBT、PPS樹脂などの結晶性ポリマーとは流動挙動が全く異なります。

溶融粘度の温度依存性

溶融粘度の温度依存性
[本データは、特定の条件下での測定値であり、
保証値ではありません]

  1. 液晶ポリエステル樹脂は、射出成形温度領 域でのポリマー粘性が低く、薄肉流動性に優れます。また良流動であるため、低圧成形が可能となり、ソリの問題も生じにくい傾向にあります。
  2. 一方で、流動末端(いわゆる充 填最終段階)においては、ポリマー粘度が急激に増大するという液晶性ポリマー特有の現象が起こります。このため、バリが発生しずらいという特徴を示します。またこの特徴から、従来のエンプラよりもベントを大きく取ることが可能となります。
  3. 東レ液晶ポリエステル樹脂シベラス™は、他社液晶ポリエステル樹脂よりも流動性に優れており、これらの特徴がより発揮しやすくなります。

良流動がゆえの注意点

Ⅰ. ジェッティング現象

良流動のため、適正条件以上の射出速度で成形を行うと、ポリマーがキャビティ内をヘビのように流動する、いわゆるジェッティングが発生し、キャビティ内のエアを巻き込み、成形品にフクレが発生する場合があります。必要以上に射出速度を上げないようにして下さい。

Ⅱ. 計量時間のバラツキ (可塑化不良)

計量時可塑化不良を引き起こす要因

シベラス™は他社LCP比良流動であるため、
溶融粘度はさらに低い。 そのため、適切な成形条件の設定が必要です。

可塑化不良フロー

これらの問題を発生させず、液晶ポリエステル樹脂シベラス™の特徴を最大限発揮させるためには、 ①樹脂の選択 ②成形機の仕様 ③成形条件 ④金型設計が重要です。