中空体成形技術:3Dサクションブロー成形

樹脂製中空形状部品の成形技術は、その形状に応じて、押出成形、ブロー成形、射出成形部品の接合など、様々な量産技術を適用、産業界で広く活用されています。東レでは、比較的新しい成形技術である3Dサクションブロー成形に適した材料を保有しており、また、その成形技術支援も行います。

Ⅰ. 3Dサクションブロー成形の特徴

3Dサクションブロー成形機3Dサクションブロー成形機

ペットボトルに代表される汎用的なブロー成形技術は、重力に従い排出するパリソンを金型内でブローアップするため、左右対称に近い形状に制約されます。一方、3Dサクションブローは、その名の通り、“3D”形状 にすべく、金型キャビティー内にパリソンを“サクション”しながら導入して“ブロー”アップして成形する技術であり、長尺複雑形状成形品をワンショットで成形することが可能です。更には、Radius Wall Thickness Control(RWTC)と呼ぶ制御機構を用い、部位ごとの肉厚の増減、太さの変化に依らず均一な肉厚、内外周差の調整が可能です。東レはドイツの大手機械メーカーKautex Maschienenbau 社をパートナーに、材料技術と成形技術の融合を進めてまいりました。

Ⅱ. 対応樹脂

3Dサクションブロー対応樹脂3Dサクションブロー対応樹脂

一般的にブロー成形用樹脂には最適化された溶融粘度とプロセスに対する滞留安定性が求められます。加えて、3Dサクションブローの場合、先述の通りRWTCという制御機構が有用であり、パリソンの形状保持を最適化したせん断速度ごとの溶融粘度最適化が好ましいです。
そのため、使用環境温度に幅広く対応すべく、マトリックスポリマーを選択し最適材料を開発、ご提供しています。グレード展開の考え方を図に示します。特にPPS樹脂は耐熱性が高く、高い部品性能を期待できる反面、低い溶融粘度が一般的に3Dサクションブローへの最適化を困難としますが、東レ独自技術により各種加工方法に対応できる”超柔軟PPS”の開発に成功しています。

Ⅲ. 3DサクションブローCAE

3Dサクションブロー成形は、サクション工程でパリソンを破壊することなくキャビティー内を通過させることが必要であり、更にはブローアップ後に肉厚がどのようになるか、など、金型作成と成形条件検討の繰り返しが必要であり、多くの時間と労力がかかります。
そのような課題を解決すべく、東レエンジニアリングDソリューションズ(株)がCAEソフトウェア 3D TIMON™ による解析技術を世界で初めて開発・実用化しています。
材料に加え、形状検討、金型設計、成形条件までのトータルソリューションをご提供いたします。

CAEソフトウェア 3D TIMON™ による解析技術
CAEソフトウェア 3D TIMON™ による解析技術