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割れ解析の事例
試験⽚の割れ形態から考える割れ解析 ~同じ材料でも強度が異なる原因を探る~
同じ材料で成形した製品でも、全ての製品がすべて同じ強度になるとは限りません。異常な割れが発生する製品がある場合、その原因を取り除くためには、割れ解析による原因究明が必要です。
今回は、同じ材料の引張試験片での強度のばらつきの原因を究明します。

非強化PBT樹脂で引張試験を行ったところ、10本中1本だけ伸びることなく、破断しました。
上がネッキングした試験片、下が伸びなく破断した試験片となります。ネッキングした試験片はさらに引張破断させ、二つの破壊面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察しました。
左側がネッキングした試験片、右側が伸びなく破断した試験片となります。形態が異なることが明確に観察されています。左側が延性破壊、右側が脆性破壊となります。今回使用した材料は、通常は十分な伸びが生じることから、右側が異常であることがわかります。



右は、上右側のき裂発生部(赤丸部分)を拡大した写真です。写真の中央部に段差があることがわかります。この段差の原因を特定するため、この試験片のき裂発生部で厚さ数ミクロンの薄片を切り出して、顕微鏡で観察してみます。

青丸部分が段差があったき裂発生部です。成形時の樹脂の流動に不具合が発生したときに生じる筋が観察されました。
今回の分析結果から、異常な割れ方をした引張試験片は成形に不具合があったということが特定できました。このように、割れ解析を行うことにより、原因を特定し、異常な割れが発生しないように対策へとつなげることができます。