画像解析の事例

PPS樹脂中の炭素繊維の配向テンソル

X線CTで得られた繊維配向の3次元データから、解析により配向テンソル(X、Y、Z面のどの方向に向いた繊維がどの割合であるかを数値化)を求めます。

必要な範囲に含まれる繊維がX線CTで観察できなければ、配向テンソルを求めることができません。一般的な樹脂中の繊維の観察は、電子線吸収係数が小さい樹脂の中に電子線吸収係数が大きいガラス繊維が配合されている場合を対象としています。

ナイロン樹脂中のガラス繊維のX線CT画像と配向テンソル
ナイロン樹脂中のガラス繊維のX線CT画像と配向テンソル

東レのラインナップにありますPPS(ポリフェニレンスルフィド)樹脂は一般的なPP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)に比べ、X線吸収係数が大きくなります。さらに、繊維として炭素繊維を配合すると、電子線吸収係数の大小関係が逆転し、電子線吸収係数が大きな樹脂の中に小さな繊維が存在することになります。

汎用的なX線CTを用いたPPS中の炭素繊維汎用的なX線CTを用いたPPS中の炭素繊維

汎用的なX線CTを用いた場合、右の図のように、繊維を確認することができません。

このようなケースでも、東レでは繊維を観察する技術を見出し、配向テンソルの解析を可能としています。

東レ技術を用いたPPS樹脂中の炭素繊維と配向テンソル
東レ技術を用いたPPS樹脂中の炭素繊維と配向テンソル

樹脂製品を観察する、樹脂製品の開発につながる解析を行うためのX線CTに関する技術蓄積により、見えない、評価できない、などの課題を解決しています。