Ⅰ. 成形条件

  予備乾燥/時間 シリンダー温度 金型温度 射出圧力
ABS 90~100℃/3~6h 240~260℃ 60~90℃ 70~140MPa
ナイロン 開封後すぐに成形する場合乾燥不要。
開封保管された場合80~90℃/4~5h除湿乾燥。
260~280℃(N6)
270~290℃(N66)
70~80℃ 50~100MPa
PBT 130℃×3h 230~260℃ 40~80℃ 28~140MPa
PPS 130~150℃×3h 290~330℃ 130~150℃ 80~150MPa

Ⅱ. 成形休止および材料替え

成形の終了、あるいは長時間停機する場合は、シリンダー内の材料を高密度ポリエチレン等の樹脂で置換してください。高温で長時間放置すると樹脂の分解により炭素繊維が固まることがあり、成形作業の継続が困難になる場合があります。

Ⅲ. 取り扱い注意事項

  • 炭素繊維強化熱可塑性樹脂の加工工程では電気機器の短絡を防止するため、例えば機器内部を正圧にするなどして、機器内部に粉塵ができるだけ入らないように注意してください。
  • 炭素繊維強化熱可塑性樹脂の廃棄は、焼却せずに産業廃棄物として正しく処理してください。
  • 炭素繊維強化熱可塑性樹脂を取り扱う際は、製品安全データシート(MSDS)をお読み下さい。

Ⅳ. 金型材質

炭素繊維強化熱可塑性樹脂の射出成形用金型は、耐摩耗性と耐腐食性を合わせ備えた鋼材の使用をお勧めします。特にゲート部、流動末端部では金型損傷しやすく、使用鋼材、焼入れに注意を払うとともに、入れ子方式として交換できるようにするなどの対応をお勧めいたします。

鋼材 強度 耐摩耗性 耐腐食性 加工性 表面仕上げ性
SKD11 ◎~○ ○~△
SKD61 ◎~○ ◎~○
SUS420 ◎~○ ◎~○ ◎~○
SUS630 ○~△ ○~△ △~×
SCM440 △~× ○~△
S55C × × × ×

◎優れる ⇔ ×劣る