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曲げ特性
Ⅰ. 曲げ試験について
曲げ特性は、試験片の両端を固定しない単純支持の3点曲げ試験方法により求めます。(Fig.5.24) このように垂直荷重をかける3点曲げ試験では、試験片と圧子が接触する面側は変形に伴う圧縮荷重が発生するのに対して、反対面側には引張り荷重が発生し、試験片を回転させようとする力(モーメント)が働きます。このように曲げモーメントを作用させて生じる垂直応力を曲げ強さと呼びます。また、引張り特性と同様にS-S曲線(曲げ試験)の比例限度よりフックの法則(式5.2)に従い曲げ弾性率を求めることができます。トレリナ™の代表的な6グレードのS-S曲線をFig.5.25~27 に示します。架橋型ポリマータイプのA504X90やA310MX03は、リニア型ポリマータイプと比較すると弾性率が高い特長があります。
Fig.5.24 3点曲げ試験方法
Fig.5.25 曲げ強さ/S-S曲線(23℃、GF強化PPS)
Fig.5.26 曲げ強さ/S-S曲線(23℃、ハイフィラーPPS)
Fig.5.27 曲げ強さ/S-S曲線(23℃、エラストマー改質PPS)
Table.5.2 トレリナ™の曲げ特性 (23℃)
項目 | 単位 | ガラス繊維強化 | ガラス+フィラー強化 | エラストマー改質 | 非強化 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
A504X90 | A604 | A310MX04 | A610MX03 | A673M | A575W20 | A495MA2 | A900 | A670T05 | ||
曲げ強さ | MPa | 295 | 290 | 200 | 210 | 220 | 225 | 220 | 135 | 115 |
曲げ弾性率 | GPa | 15.5 | 15.0 | 21.0 | 20.0 | 10.0 | 15.5 | 13.5 | 4.0 | 3.0 |
- ※試験法:ISO 178準拠
Ⅱ. 温度依存性
トレリナ™の代表的な9グレードの曲げ強さの温度依存性をFig.5.28~5.35に示します。曲げ強さの温度依存性は、基本的な傾向は引張り強さと同様です。また、曲げ弾性率は、強化材の含有率に依存して高くなり、架橋型ポリマータイプが高温時の弾性率の保持に優れています。そのため、高温環境下において高い弾性率求される用途には架橋型ポリマーを使用したハイフィラーPPS(A310MX04等)が有効です。一方、非強化エラストマー改質タイプ(A670T05等)の曲げ弾性率は室温付近でも低く柔軟性に優れていることから、耐屈曲性やシール性が必要な電線被覆、チューブ製品、ガスケット部品などの製品に適しています。
【一般強化グレード】
1 A504X90(標準)、A604
Fig.5.28 曲げ強さの温度依存性(GF強化PPS)
Fig.5.29 曲げ弾性率の温度依存性(GF強化PPS)
2 A310MX04(標準)、A610MX03
Fig.5.30 曲げ強さの温度依存性(ハイフィラーPPS)
Fig.5.31 曲げ弾性率の温度依存性(ハイフィラーPPS)
【エラストマー改質グレード】
3 A673M、A575W20、A495MA2
Fig.5.32 曲げ強さの温度依存性(エラストマー改質)
Fig.5.33 曲げ弾性率の温度依存性(エラストマー改質)
【非強化グレード】
3 A900、A670T05
Fig.5.34 曲げ強さの温度依存性(非強化PPS)
Fig.5.35 曲げ弾性率の温度依存性(非強化PPS)