熱変形温度

Fig.6.4 熱変形温度試験方法Fig.6.4 熱変形温度試験方法
Fig.6.5 アニール処理と熱変形温度の関係Fig.6.5 アニール処理と熱変形温度の関係

熱変形温度は、耐熱性指標の一つであり材料の高温時剛性(弾性率)の指標です。試験方法は曲げ試験と同様の3点曲げ法であり、曲げ弾性率が一定のひずみ速度で破断荷重を求めるのに対して、熱変形温度は一定の荷重(ISO 72/低荷重0.45MPa、高荷重1.80MPa)を負荷した状態で徐々に昇温(120℃/hr)し、規定の変位量に達する温度を求めます。(Fig.6.4) また、ISO試験片のように成形品断面が長方形の場合、長辺側(10mm)の面を圧子で加圧する方法をフラットワイズ法、短辺側(4mm)の面を加圧する方法をエッジワイズ法として区別しています。トレリナ™の熱変形温度は、フラットワイズ法による測定値を示しています。
一般的に熱変形温度は、曲げ弾性率の温度依存性と相関した特性です。トレリナ™の強化系PPSは高温環境下においても高い弾性率を維持することから、高荷重条件においても260℃以上の高い耐熱性を有しています。(Table.6.1)一方、トレリナ™A900やA670T05の非強化PPSは、弾性率の低下が大きくなるガラス転移温度付近で熱変形温度を示します。そのため、高温時剛性が求められる用途に非強化PPSをご使用の場合は、アニール処理により結晶化度を高める手法が有効です。(Fig.6.5)

Table.6.1 トレリナ™の熱変形温度

項目 荷重条件 単位 ガラス繊維強化 ガラス+フィラー強化 エラストマー改質 非強化
A504X90 A604 A310MX04 A610MX03 A673M A575W20 A495MA2 A900 A670T05
熱変形温度 0.45MPa >260 >260 >260 >260 >260 >260 >260 132 120
1.8MPa >260 >260 >260 >260 >255 >260 >260 105 100