PVT特性

PPSを含む熱可塑性樹脂は、固体や溶融状態に関わらず圧力に依存して比容積(単位:cm3/g、密度の逆数)が変化します。この樹脂の圧縮性は、圧力(Pressure)、比容積(Specific Volume)および温度(Temperature)の関係(PVT特性)として表され、主にCAEによるソリ変形解析に用いられます。
一般的に成形品のソリ変形は、収縮が不均一に発生することが原因と考えられます。収縮は、材料(異方性、結晶性)、製品形状(リブ構造、肉厚等)、成形条件など様々な複合要因により起こります。射出成形では、金型のキャビティ内に溶融樹脂が充填された後、成形収縮を抑制するためにゲートシール(固化)するまでは圧力を保持(保圧工程)しながら冷却を行います。このとき成形品が受ける保圧力が不均一な場合、圧力が高い部分の成形収縮は小さく、低い部分は大きくなることから、部位間で収縮差が生じ、ソリ変形の原因になります。CAEによるソリ変形解析では、こうした金型内での圧力や温度分布から離型後の成形収縮を予測し、解析精度を向上させるためにPVT特性が用いられます。

トレリナ™の各種グレードのPVT特性をFig.6.22~30に示します。

【一般強化グレード】

1 A504X90(標準)、A604

  • Fig.6.22 温度依存性(A504X90)Fig.6.22 温度依存性(A504X90)
  • Fig.6.23 温度依存性(A604)Fig.6.23 温度依存性(A604)

2 A310MX04(標準)、A610MX03

  • Fig.6.24 温度依存性(A310MX04)Fig.6.24 温度依存性(A310MX04)
  • Fig.6.25 温度依存性(A610MX03)Fig.6.25 温度依存性(A610MX03)

【エラストマー改質グレード】

3 A673M、A575W20、A495MA2

  • Fig.6.26 温度依存性(A575W20)Fig.6.26 温度依存性(A575W20)
  • Fig.6.27 温度依存性(A673M)Fig.6.27 温度依存性(A673M)
  • Fig.6.28 温度依存性(A495MA2)Fig.6.28 温度依存性(A495MA2)

【非強化グレード】

3 A900、A670T05

  • Fig.6.29 温度依存性(A900)Fig.6.29 温度依存性(A900)
  • Fig.6.30 温度依存性(A670T05)Fig.6.30 温度依存性(A670T05)