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はじめに
トレリナ™は、高結晶性でかつ耐熱性の優れるポリフエニレンサルファイド(PPS)をベースとして、それに強化材(例えばガラス繊維や無機フィラーなど)や熱可塑性エラストマーを所定の割合で配合した熱可塑性樹脂です。
トレリナ™を射出成形する際の注意点は、他の結晶性熱可塑性樹脂と多くの点で共通していますが、結晶性の高さやガスなどの特性にも配慮が必要です。
- ① もろさ(設計面での配慮)
- ② ウエルド(ゲート位置)
- ③ ガス(成形場所の排気、成形機または金型の耐食・耐摩耗対策、モールドデポジット(金型汚染)、ガスベントなど)
- ④ 増粘(異常滞留を避ける)
- ⑤ 成形品の変形(特に非強化PPS樹脂など)
トレリナ™は元来吸湿性の少ない材料ですが、良好な成形品を得るためには成形前に十分な予備乾燥を行なうことをお勧めします。トレリナ™の代表的な予備乾燥および射出成形条件は下記の通りです。
- ① 予備乾燥条件 : 130℃(熱風または除湿エア) × 3~4時間
- ② シリンダー温度 : 310~330℃ (樹脂温度315~345℃)
- ③ 金型温度 : 130~150℃
- ④ 射出圧力 : 40~100MPa
なお、金型温調はカートリッジヒータ方式が最も簡易ですが、特に精密な温度コントロールを必要とする時には、油または加圧熱水による温調をお勧めします。またいずれの方式を採用した場合でも、熱容量の十分大きい温調機を御使用下さい。