3Dプリンタ用微粒子(PPS、PA6)

従来の射出成形などと比べ、開発期間の短縮、金型レス、複雑部品形状の造形などを可能とする技術として採用が進む3Dプリンティング。 東レでは3Dプリンティングに最適な粉体流動性や耐熱性を備えた高機能樹脂微粒子として、耐熱性、耐薬品性を備えたPPS微粒子 トレミル®、PA6微粒子 トレパール®をラインナップしています。

製品の特徴

3Dプリンタ用PPS微粒子 トレミル®の特徴

粉体流動性

3Dプリンタ(Powder Bed Fusion)に求められる粉体流動性を有す

ポリマー特性

3Dプリンタに最適なポリマー特性を有す

平均粒径50μm

3Dプリンタ(Powder Bed Fusion)に最適な粒子径を有す

機械特性

樹脂3Dプリンタ用材料のなかでは最高峰と言える良好な機械特性

難燃性

航空宇宙、鉄道、自動車用途等への適用に必須の難燃性を有す

絶縁性・耐熱性
耐薬品性

自動車(EV、FCV)用途や電気電子部品への適用に必須の特性を有す

3Dプリンタ用PA6微粒子 トレパール®の特徴

粉体流動性

3Dプリンタ(Powder Bed Fusion)に求められる粉体流動性を有す

真球形状

3D造形物の面粗度UPに効果

平均粒径50μm

3Dプリンタ(Powder Bed Fusion)に最適な粒子径を有す

機械特性

自動車(インマニ、ストレーナ等)に求められる機械特性を有す

耐熱、耐薬品性

自動車(インマニ、ストレーナ等)に求められる機械特性を有す

選ばれる理由

トレミル®が選ばれる理由

工業用で採用が進むPBF方式に対応

3Dプリンティングには、使用できる材料や造形品の特徴が異なる複数の形式が存在します。トレミル®はこのうち、工業用として最も一般的に使用されているPBF(Powder Bed Fusion:粉末溶融結合)方式に対応。性能確認用の試作部品のほか最終部品の製造でも活用されています。
PBF方式には、大型造形(460mm×460mm×490mm)が可能、形状自由度が高い(形状を保持する為に必要なサポート剤が不要)、複数個を同時に造形する事により1個当たりのコストを低減できるといった特徴があり、生産性の高い工法として各分野で採用が進んでいます。

PBF方式による3Dプリンティングのイメージ

PBF方式の3Dプリンタに最適な粉体流動性、ポリマー特性

PBF方式の3Dプリンタは、内部に貯蔵した微粒子をローラーやブレードで造形エリアに送り、厚み約0.1~0.2mm の薄い粉末層として敷き詰めます。その粉末層にレーザーを照射して溶かし、固める(溶融固化)ことを繰り返して、いくつもの層を重ねていくことで造形物を構築する仕組みです。このため粉末(造形物の材料)には、貯蔵部からなめらかに造形エリアへと流し込める流動性の高さや、レーザーでスムーズに溶融固化できることなどが求められます。
そうしたなかで、トレミル®はPBF 方式の3D プリンタに最適な粉体流動性と、溶融固化に適したポリマー特性を有しています。

トレミル®粒子形状

トレミル®粒子流動性

トレミル®造形物の機械特性

トレミル®(PPS)は、電気特性(絶縁性)、耐薬品性、難燃性、耐熱性、低吸水性などにすぐれたスーパーエンジニアリングプラスチックです。特に3Dプリンタ用材料のなかでは最高峰と言える良好な機械特性を有していることから、単純形状ではないマニホールドや配管などの複雑形状を中心に、PP/ABS射出成型品の機能性試作部品、最終部品の材料として採用が進んでいます。

項目(X方向) トレミル®PPS PP/ABS射出成形品
非強化 GF25%強化PPS CF20%強化PPS フィラー配合
融点 (°C) 280 280 280 165
曲げ 弾性率 (MPa) 3,300 5,200 4,000 4,000
強度 (MPa) 63 91 92 41
引張 弾性率 (MPa) 2,100 6,200 6,300 -
強度 (MPa) 49 66 71 25
密度 (g/cm3) 1.22 1.47 1.38 1.22
荷重撓み温度 (°C) 【1.8MPa】 123 237 247 -
荷重撓み温度 (°C) 【0.45MPa】 - - - 133
線膨張係数 (x10-5/K) 5.5 3.2 3.0 -
難燃性 (UL 94) V-0相当 V-0相当 V-0相当 Non
粉末リサイクル率 (%) 80 70 50 -

トレパール®が選ばれる理由

品質向上やトータルコスト削減に貢献する真球形状

トレパール®(PA6)は、平均粒子径が50μm 程度の真球PA6粒子です。一般的な樹脂粒子が不定形状である一方、トレパール®は真球状のため、PBF方式の3Dプリンタなどに向く良好な粉体流動性を有しています。また、積層時の高充填化も実現。造形物の表面平滑性を高められるため、後加工を削減でき、トータルコストの削減に貢献します。
これらに加えて、高い流動性を活かしてフィラーを配合したグレードもラインナップしています。なかでも機械特性にすぐれたガラス繊維(GF)強化グレードを取り揃えています。

※フィラー:最終製品の強度向上などを目的に、粉末(造形用の材料)となる樹脂に添加される材料。カーボンファイバーやガラス繊維など

試作から最終部品をカバーする機械特性

トレパール®(PA6)は他の3Dプリンティング向け材料より高い耐熱性を有しています。このため出力された造形物は高温による疲労も少なく、110°Cでの長期耐久試験でも機械特性を維持します。このため性能確認用試作部品のみならず最終部品にも適用可能です。
また、高いリサイクル性も特徴です。 一例としてGF強化グレードでは、使用後の粉末から約50%を再利用できます。この特性から、繰り返し造形時の材料費削減、環境負荷低減に寄与し、生産性向上にも貢献します。

PA6造形物の機械特性・耐熱性
項目(X方向) トレパール®®PA6
GF30%強化
造形物特性 曲げ弾性率 (MPa) 5,200
曲げ強度 (MPa) 108
引張伸度 (%) 3.7
引張強度 (MPa) 64
シャルピー衝撃強度 (ノッチ有 : kJ/m2) 3.1
表面粗度 (µm) 10
密度 (g/cm3) 1.33
荷重撓み温度 (°C) 0.45MPa 217
1.8MPa 183
造形物疲労特性 110°C×800h 引張伸度 (%) 3.9
引張強度 (MPa) 59
160°C×50h 引張伸度 (%) 3.1
引張強度 (MPa) 62
粉末リサイクル率 (%) 50

主な用途

トレミル®の主な用途

xEVやFCVなどの次世代モビリティ、ICE、水周り部品などの機能性試作をはじめ、さまざまな用途で採用されています。

EV関連部品(モーターインシュレーター、バスバー、ケース、ウォータージャケットなど)の試作評価

トレミル®は、特に自動車や産業機器のモーター関連部品向け機能性評価用試作部品として多数の採用実績があります。なかでもモーター関連部品の試作評価に活用されることが多く、これは高い荷重たわみ温度や優れた電気特性(体積固有低効率1013Ωcm、絶縁破壊強度14kV/mm)、低吸水性、耐薬品性などが評価されたものです。加えて、従来の射出成形工法と比べてコストを約10%にまで抑えることができ、製作期間も大きく短縮できます。

ウォーターポンプの施策評価

自動車や船舶に搭載されるウォーターポンプ向けインペラの性能確認用試作部品にもトレミル®が活用されています。3Dプリンティングは、複雑な形状に対応できることに加え、荷重たわみ温度の高さ、耐薬品性、低吸水性などの特徴を有するために、樹脂材料でありながら金属部品の試作用として採用されました。
これにより、金属を用いた切削品を溶接加工する従来の試作工程と比べ、コストを50%に抑え、製作期間も短縮できます。

東レ樹脂のPPS造形物へのソリューション (3Dプリンティングと切削加工の組み合わせ)

東レ樹脂では3Dプリンティング向け材料だけでなく、PPS造形物への提案も進めています。
3Dプリンティングによる造形物は面粗度、寸法精度が射出成形などと比べてやや粗くなるというデメリットもありますが、造形後に必要な箇所を切削加工することで精度を保証。部品全てを切削加工するよりも低コストで、切削追加工後の面粗度Ra1.6-3.2μm、寸法精度±0.05mmを実現しました。

精度 造形なり 追加加工後
面粗度 Ra15-20µm Ra1.6-3.2µm
寸法 ±0.2mm(目標) ±0.05mm

※精度は形状、寸法によって異なります。上記は保証値ではなく参考値

トレパール®の主な用途

インテークマニホールド、ストレーナーなど

PA6、PA66(射出成形品)は、自動車エンジン周辺で用いられるインテークマニホールド、ストレーナーで多数の採用実績があります。
これらの部品には高い耐熱性が求められますが、トレパール®(PA6)を用いた造形物は、217°C(0.45MPa)と高い荷重たわみ温度を示し、また、表面平滑性も高く、仕上げのための研磨工程を省略できます。こうした特性から、試作工程では、短納期・低コスト化可能なトレパール®造形物が活用されています。

電動工具ハウジング

電動工具向けのハウジングにもトレパール®(PA6)が活用されています。
PA6による造形物はシャルピー衝撃強度(ノッチ有)、曲げ弾性率ともに良好で、高い荷重たわみ温度を示します。このため、耐衝撃性、機械強度、表面平滑性、耐熱性などが求められるハウジングに最適です。加えて、表面平滑性が高い事により、接合部の研磨工程を削減でき、効率化に貢献します。

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