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トラッキング特性
トラッキング破壊は、電界と電解質汚染との複合作用により成形品の表面、内部またはその両方にトラッキング(炭化導電路)が形成され絶縁破壊に至る現象です。耐トラッキング性は、模式図(Fig.7.14)に示す通り平板形状の試験片に電極(電界)を接触させた状態で、電極間に電解液を滴下し、絶縁破壊に至る電圧を求めます。トラッキング特性は比較トラッキング指数(CTI:Comparative Tracking Index)が用いられることが多く、UL規格では破壊電圧を6段階のクラス(PLC)に分類しています。
Fig.7.14 耐トラッキング性評価(模式図)
一般的にPPSは、ナイロンやポリエステルに比べると炭化導電路を形成しやすく耐トラッキング性が低いことが知られています。トレリナ™A660MBは、炭化導電路の形成を抑制することにより耐トラッキング性を飛躍的に向上させた材料であり、UL規格においては最高ランク(ランク0)を取得しています。また、トレリナ™A660EXBは、耐トラッキング性を維持しながらも、一般のハイフィラーPPS並の機械強度にまで高めたグレードです。(Table.7.4)
項目 | 単位 | GF+フィラー強化 | 耐トラッキンググレード | |
---|---|---|---|---|
A310M | A660MB | A660EXB | ||
耐トラッキング性 (UL規格/PLC) |
V | ~250 | 600 | >600 |
- | ランク3 | ランク0 | ランク0 | |
引張り強さ | MPa | 115 | 80 | 110 |
引張り伸び | % | 0.8 | 0.5 | 0.7 |
曲げ強さ | MPa | 200 | 140 | 175 |
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電装部品の小型化・省スペース化を可能にPPS樹脂の耐トラッキング性“CTIランク0”を達成
クルマの電動化を中心に増加する電装部品の小型化、省スペース化の鍵となるのが絶縁材料の耐トラッキング特性です。車載電装部品等に幅広く採用されてきたPPS樹脂において、これまで不可能といわれていたCTIランク0(600V)を達成、その革新的な新材料について紹介いたします。