成形不良とその対策

主要な成形不良現象と考えられる原因およびその対策をTable.6.1に示します。

Table.6.1 成形不良とその対策

不 良 現 象 原 因 対 策
充填不足
(ショートショット)
  1. 1) 樹脂量の不足
  2. 2) 射出圧の不足
  3. 3) 充填速度が遅い
  4. 4) 樹脂温度が低い
  5. 5) 金型内のエア逃げ不足
  6. 6) ランナー・ゲート径が小さ過ぎる
  7. 7) ランナーが長い
  8. 8) 成形品の肉厚が薄い
  9. 9) 逆流防止リングが摩耗している。
  1. 1) 計量を増やす
  2. 2) 射出圧を上げる
  3. 3) 射出速度を上げる
  4. 4) シリンダー温度を上げる
  5. 5) 未充填部にベントをつける
    (5/1000mm程度)
  6. 6) ランナー・ゲートサイズを大きくする
  7. 7) ランナーの配置を見直す
  8. 8) 成形品の肉厚を増す
  9. 9) 逆流防止リングを交換する
ウエルド部の強度不足
  1. 1) ゲート位置
  2. 2) 合流するときに、その部分の粘度が高すぎる
  3. 3) 合流するときにその部分に加わる圧力が低い
  4. 4) エアが閉じ込められる
  1. 1) 負荷の小さい場所にウエルドが生ずるようにゲート位置をずらす
  2. 2) 射出速度を上げる。シリンダー温度、金型温度を上げる
  3. 3) 射出圧を上げる。計量を増やす。
  4. 4) ベントをつける。射出速度を下げる。
ヒケ、ボイド
  1. 1) 樹脂密度が不足
  2. 2) ゲートシールの時間が早い(真空ボイド)
  3. 3) 肉厚が厚過ぎる(真空ボイド)
  4. 4) 熱収縮が大きい(ヒケ)
  5. 5) 肉厚差が大きい(巻き込みボイド)
  1. 1) 背圧を上げる。射出圧を上げる
  2. 2) ゲートを大きくする、シリンダー温度、金型温度を上げる
  3. 3) シリンダー温度、金型温度を下げる
  4. 4) シリンダー温度、金型温度を下げる
  5. 5) 肉厚差部分の射出速度を下げる
バリ
  1. 1) エアベント等の隙間に樹脂が流れ込む
  2. 2) 流動工程中に流動抵抗が増し過大な型開力がかかる(型開きする)
  1. 1) 射出圧、射出速度を下げる。シリンダー温度、金型温度を下げる。
  2. 2) シリンダー温度、金型温度、射出速度を上げて流動性を高める。
表面光沢不良
(金型転写不良)
  1. 1) 樹脂密度が不足
  2. 2) 充填速度が固化速度に比べて遅い
  3. 3) 金型温度が低い
  4. 4) キャビティーの排気か悪い
  5. 5) デポジットの付着(曇り)
  1. 1) 射出圧を上げる
  2. 2) 射出速度、シリンダー温度を上げる
  3. 3) 金型温度を上げる
  4. 4) ベントをつける
  5. 5) シリンダー温度、射出速度を下げる、金型洗浄
内部クラツク
  1. 1) 冷却が速過ぎる
  2. 2) 残留応力の発生
  3. 3) 肉厚が厚過ぎる。
  1. 1) 金型温度を上げ、成形品取出後徐冷する
  2. 2) 射出圧を下げる、金型温度を上げる
  3. 3) 肉厚を薄く、均一にする。
ソリ
  1. 1) 冷却が不均一。
  2. 2) 突き出しが速い
  1. 1) 冷却時間を長くする、金型温度バランスをとる、製品肉厚を均一にする
  2. 2) 突き出し速度を遅くする
ヤケ
  1. 1) ガス抜きが不十分
  2. 2) ガス発生が多い
  1. 1) ベントをつける
  2. 2) シリンダー温度を下げる。
突き出し不良
  1. 1) 抜きテーパー角不十分
  2. 2) 突き出しピン不適当
  3. 3) 成形品の冷却不十分
  4. 4) 過充填
  1. 1) 抜きテーパーを大きめにとる、離型剤を使用する
  2. 2) 突き出しピンの位置とバランスを適正化する、突き出しピン径を大きくする
  3. 3) 冷却時間を長くする、金型温度を下げる
  4. 4) 射出圧を下げる
ドルーリング
(ノズル樹脂漏れ)
  1. 1) 樹脂の吸着水分が多い
  2. 2) ノズル温度が高い
  3. 3) サックバックが小さい
  1. 1) 予備乾燥を十分に行う。
  2. 2) ノズル・シリンダー温度を下げる、シャット・オフ・バルブを使用する
  3. 3) サックバックを大きくする
シルバーストリーク
  1. 1) 樹脂の吸着水分が多い
  2. 2) 発生ガスが多い
  1. 1) 予備乾燥を十分に行う。
  2. 2) ノズル・シリンダー温度を下げる、射出速度を下げる
ジェッティング
  1. 1) ゲート位置
  2. 2) 金型温度が低い
  1. 1) スラッグウェルを大きくする、ゲート直後に流動方向が変わる位置にゲートを設ける
  2. 2) 金型温度をあげる
コールドスラッグ
  1. 1) ノズル温度が低い
  2. 2) スラッグウェルが小さい
  1. 1) ノズル温度をあげる、ノズルタッチ時間を短くする
  2. 2) スラッグウェルを大きくする
異物混入
  1. 1) パージ不足
  2. 2) 滞留時間が長い
  3. 3) 再生材使用
  1. 1) パージ回数を増やす
  2. 2) 成形サイクルを短くする、パージする
  3. 3) 粉砕機刃、配管など材質変更