炭素繊維で補強した熱可塑性樹脂(CFRTP)
自動車部品、ドローン部品、スポーツ用品などに幅広く採用
炭素繊維強化熱可塑性樹脂 トレカ™は、用途に応じたさまざまなベース樹脂を炭素繊維強化した素材です(PP樹脂、PC樹脂、ABS樹脂、ナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂、ナイロン610樹脂、PBT樹脂、PPS樹脂)。軽量性、強度、剛性、寸法精度、摺動性などにすぐれ、自動車や電機製品などの産業用途のほか、ゴルフシャフトや釣り具部品などのスポーツ分野でも採用されています。
製品の特徴
軽量化
比強度、比弾性率が高く、比重が小さく軽量です。
耐クリープ・耐疲労特性
一般に流通しているさまざまな樹脂を使用できるため、耐クリープ・疲労特性に優れるラインナップも揃っています。
耐摩耗・摺動特性
摩耗量が少なく、相手金属へのアタックも小さいため、ギア摺動部品への適用が進んでいます。
低線膨張係数・
低成形収縮率
低収縮、低線膨張係数であることから高い寸法精度が実現します。
電磁波シールド性
炭素繊維自体が電磁波シールド性を有していることから、特に長繊維樹脂は導電性、電磁波遮へい性にすぐれ、メッキ処理などが必要ありません。
導電性・帯電防止
炭素繊維をコンパウンドしているため、表面固有抵抗値が低く、帯電防止用途で多くの採用実績があります。
高強度・耐衝撃
長繊維樹脂生産の製法が東レ独自のものであるため、さまざまなベース樹脂が使用可能であり、高強度・高衝撃を実現できます。
良成形性
汎用的な金型・成形機での成形が可能です。
選ばれる理由
- お客様の課題に柔軟に応える豊富なラインナップ
- 金属代替に適した電磁波遮へい性(長繊維ペレット)
- 成形品の寸法精度を保つ低い線膨張係数・成形収縮率(長繊維ペレット)
- 微細構造制御(ナノアロイ)技術により耐衝撃性のさらなる向上も
お客様の課題に柔軟に応える豊富なラインナップ
一般に流通しているさまざまな樹脂を採用できるため、幅広いラインナップを有することが炭素繊維強化熱可塑性樹脂
トレカ™の大きな特徴です。これに加えて、コンパウンドする炭素繊維の残存繊維長の差(短繊維・長繊維)でも性質が異なり、要求特性に合わせて最適なグレードを選んでいただけます。
長繊維ペレットは高い電磁波遮蔽性を発揮するほか、高い強度と耐衝撃性、低反り性を示します。また短繊維ペレットは成形性にすぐれ、高い意匠性を実現します。
長繊維ペレット・短繊維ペレットの構造とメリット
ペレット中の繊維長
金属代替に適した電磁波遮へい性(長繊維ペレット)
近年、電子機器や自動車部品の軽量化が求められ、金属の代替材料として長繊維ペレットが注目されています。特に長繊維ペレットは、高い電磁波遮へい性を発揮し、炭素繊維含有量の増加や樹脂の種類によって性能を調整可能です。
この特性を活かし、電子機器の筐体、車載ECUケース、バッテリーカバーなどの用途で軽量かつ高い遮へい性能を持つ代替材料として検討が進んでいます。今後、さらなる高性能化が期待され、金属代替の選択肢として広がりを見せています。
長繊維ペレット・短繊維ペレットの電磁波遮へい性
炭素繊維配合量による電磁波遮へい性の変化
参考:電磁波遮へい性の測定方法
成形品の寸法精度を保つ低い線膨張係数・成形収縮率(長繊維ペレット)
長繊維ペレットには、射出成形時に繊維が絡み合うことで、異方性が低くなる特徴もあります。このため成形品の強度にムラがありません。さらに線膨張係数や成形収縮率も低くなり、部品の寸法精度向上に寄与します。
長繊維ペレット・短繊維ペレットの成形収縮率
長繊維ペレット・短繊維ペレットの曲げ強度
微細構造制御(ナノアロイ)技術と炭素繊維強化熱可塑性樹脂 トレカ™(長繊維)の組み合わせにより耐衝撃性のさらなる向上も
東レ独自の『NANOALLOY®(ナノアロイ®)』技術を応用し、ベースとなる樹脂の特性を改良した「ナノアロイTLP」の研究も進めています。
『NANOALLOY®(ナノアロイ®)』技術は、ナイロン樹脂中に複数のポリマーをナノメートル単位で分散させることで、樹脂などの特性を改良する技術です。
東レ独自の長繊維ペレット技術と、 『NANOALLOY®(ナノアロイ®)』技術の融合により、高強度・高剛性を維持しながら炭素繊維強化射出成形材料として極めて優れた耐衝撃性を実現できます。
『NANOALLOY®(ナノアロイ®)』技術
トレカ™樹脂長繊維ペレット 物性値一覧
| TLP2220-N | TLP2240-N | TLP2260-N | ||
|---|---|---|---|---|
| 特徴 | - | 柔軟設計 | ||
| 樹脂 | - | NANOALLOY® | ||
| PA610系(植物由来原料使用) | ||||
| 繊維含有量 | wt% | CF10 | CF20 | CF30 |
| 比重 | - | 1.08 | 1.13 | 1.18 |
| 引張強度※2 | MPa | 145 | 210 | 245 |
| 曲げ強度※2 | MPa | 190 | 280 | 350 |
| 曲げ弾性率※2 | GPa | 6.3 | 11.5 | 17.5 |
| シャルピー衝撃※2 | ノッチ有 | 12 | 17 | 22 |
| 備考 | 量産品データ | |||
そのほか製品特徴の詳細や成形に関する情報はテクニカル情報をご覧ください
テクニカル情報を見る主な用途
炭素繊維強化熱可塑性樹脂 トレカ™は、炭素繊維強化を施すことが多いスポーツ用品のほか、各種摺動部材でも採用が拡大しています。
スポーツ用品(釣具リール)
さまざまな樹脂を使用でき、高強度や良摩耗特性を実現するトレカ™樹脂は、スポーツ用品でも広く採用されています。
一例として、近年採用が広がっている分野が釣具リールです。軽量性と高剛性を兼ね備え、耐腐食性にもすぐれるトレカ™樹脂は、特に海釣り用品に適し、疲労軽減と高い耐久性を実現します。さらに、複雑な形状にも対応可能であるため、デザイン性を損なうことなく機能性を強化できます。
摺動部材(高温、高速回転によるクリープ対策)
BEVや工作機械では、今後モーターの高速化がトレンドになると言われています。それにより性能強化が必要となっているのがベアリングです。特に課題となるのが高温下での高速回転によるクリープ現象※の発生であることから、これを防ぐベアリングリテーナーの機能向上が不可欠となっています。
そこで当社は、低吸水、耐熱ナイロンをベースにしたトレカ™樹脂のグレードを開発。これにより、常温靭性と高温耐クリープ性を両立したベアリングリテーナーが実現しました。本グレードは、小型化・高出力化が進む金属ギアの代替材料としても好適です。
※クリープ現象:ベアリングにおいて、軸受の外輪が円周方向に回転してずれる現象
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金属レスで電子部品の電磁波対策に貢献!! 炭素繊維強化熱可塑性樹脂 トレカ™の電磁波シールド性
5G、 IoT、ADAS等の普及による電子機器の増加に伴い電磁波対策が課題となってきています。本資料では、そのような課題を解決する電磁波シールド性にすぐれた炭素繊維強化熱可塑性樹脂トレカ™の特性と適用検討事例についてご紹介します。