優れた耐熱性、寸法安定性、耐薬品性を誇る
熱可塑性スーパーエンジニアリングプラスチック
PPS樹脂 トレリナ™は、耐熱性や耐薬品性など、優れた特性を有するPPS樹脂をベースに、高い寸法安定性などを実現したエンジニアリングプラスチックです。ベースポリマーからコンパウンドまで一貫して製造、架橋型と直鎖(リニア)型の両方で、多様なグレードを用意しています。
製品の特徴
耐熱性
長期耐熱性が極めてすぐれており、200~240°Cの連続使用に耐えます。また短時間であれば260°C以上の高温にも耐えます。
機械強度
融点約280°C、ガラス転移温度約90°C、熱変形温度は260~270°Cであり、高温下でも高い強度を有し、耐クリープ性にも優れます。
耐熱水性
吸水率が低く、熱水下でも高い強度を有します。
耐薬品性
酸やアルカリ、各種有機溶剤への耐性が高く、フッ素樹脂に次ぐレベルです。
難燃性
難燃剤を添加しなくとも高い難燃性を有します。
電気特性
高湿、高温下でも優れた電気特性を示します。
寸法安定性
耐熱性、耐水性、耐薬品性に優れるため種々の環境下で高い寸法安定性を示します。
成形性
流動性に優れるため、精密成形部品の射出成形も可能です。
選ばれる理由
自動車部品などに適する高い耐熱性
PPS樹脂 トレリナ™の優れた特徴の一つは耐熱性です。融点が278°C、熱変形温度が260°C以上と、他の樹脂と比較しても高温による変形が起こりにくい素材と言えます。
また、連続使用温度※も200~240°Cと、長期間の過熱にもよく耐えます。短期間、長期間での耐熱性がいずれも200°Cを超える樹脂はごく限られています。
このためトレリナ™は、高温環境下で使用される自動車エンジン周辺部品や産業機械部品や電子機器部品などに適しています。
※連続使用温度:ある物質を長時間(40,000時間)熱処理した後で、強度50%以上を維持できる上限温度
各種樹脂の耐熱性比較
各種樹脂のガラス転移温度と融点
| 材料 | 結晶化特性 | ガラス転移温度 (°C) | 融点 (°C) |
|---|---|---|---|
| トレリナ™PPS | 結晶性 | 90 | 278 |
| 液晶ポリマー (LCP) | - | 280~370 | |
| ポリエーテルエーテルケトン(PEEK) | 143 | 334 | |
| ナイロン66 | 50 | 260 | |
| ポリブチレンテレフタレート(PBT) | 22 | 224 | |
| ポリアミドイミド (PAI) | 非結晶性 | 280 | - |
| ポリエーテルスルホン (PES) | 225 | - | |
| ポリエーテルイミド (PEI) | 217 | - | |
| ポリスルホン (PSF) | 190 | - | |
| ポリカーボネート (PC) | 150 | - |
多彩な環境での使用を可能とする耐水性・耐薬品性
耐水性・耐薬品性に優れていることもPPS樹脂 トレリナ™の特徴です。
PPS樹脂は結晶性が高く、また水との親和性の高い化学構造を持ちません。このためPPS樹脂 トレリナ™は、他の樹脂と比較しても吸水率が低く、吸水による寸法変化や強度低下を起こしにくいという特徴を有しています。
また、熱水や各種溶剤に対しても高い耐久性を発揮します。このため、車載用冷却ポンプのケースやチューブ、産業水廻り向け配管や継手などにも最適です。
トレリナ™と各種樹脂の吸水性比較
トレリナ™の耐薬品性
他の樹脂を超える高い難燃性
ガラス繊維強化PPSに用いた場合の限界酸素指数は47と、他の樹脂と比べて難燃性が高いのもPPS樹脂 トレリナ™の優位性です。このため電気・電子機器のハウジング、コネクタや自動車のエンジンルーム内の部品などにも活用できます。
各種樹脂のガラス転移温度と融点
| 材料 | 限界酸素指数 (%) | UL難燃性クラス |
|---|---|---|
| ガラス繊維強化PPS | 47 | V-0 |
| ポリエーテルイミド (PEI) | 47 | V-0 |
| ポリアミドイミド (PAI) | 43 | V-0 |
| ガラス繊維強化ポリエーテルスルホン (PES) | 41 | V-0 |
| ポリエーテルエーテルケトン(PEEK) | 35 | V-0 |
| ポリスルホン (PSF) | 30 | V-2~V-0 |
| ガラス繊維強化 ナイロン66 | 24 | H-B |
| ポリブチレンテレフタレート(PBT) | 21 | H-B |
| ポリアセタール(POM) | 16 | H-B |
そのほか製品特徴の詳細や成形に関する情報はテクニカル情報をご覧ください
テクニカル情報を見る主な用途
PPS樹脂 トレリナ™は、給水給湯設備市場の配管、パワー半導体のケースなどさまざまな用途で採用されています。
給水給湯設備市場向け部品
飲料水と直に接触する蛇口やシャワー、配管・パイプ、継手、ポンプのような部品は、近年では金属からプラスチックへの置き換えが進んでいます。この際主に使用されているのが、耐水性や耐熱性、耐薬品性、加工性に優れたPPS樹脂です。東レのPPS樹脂「トレリナ™」もこうした水回り部品で活用されています。住設や給湯器、エコキュート、トイレ、浴室、キッチンなど、各種の水回り規格に対応したグレードも豊富で、さまざまな要求特性に対応できます。
パワーモジュール(パワー半導体)
産業用、車載用のパワーモジュールは、高電圧化に伴って高い耐熱性や寸法安定性、高CTIが求められるようになっています。一般的には耐トラッキング性と難燃性はトレードオフになりますが、トレリナ™では独自のナノアロイ技術によって「CTIランクゼロ(CTI 600V以上)かつ高難燃性」を実現。グローバルに採用いただいています。
ウォーターポンプ
トレリナ™は、その優れた特性により、ウォーターポンプに最適な材料です。特にPPS高衝撃グレードは、耐薬品性や耐LLC性が求められる部品において、その真価を発揮します。耐薬品性と耐LLC性が求められるウォーターポンプ部品において、耐衝撃性と耐熱水性を兼ね備えた最適な材料です。これにより、ウォーターポンプの性能向上と信頼性の確保に貢献します。また、自動車向けやデータサーバー向けなど、今後需要拡大が見込まれる用途向け冷却部品にも最適な材料です。
バスバー絶縁部品
トレリナ™は、その優れた特性により、バスバーの絶縁部品に最適な材料です。 トレリナ™ PPS高ヒートサイクルグレードは、耐ヒートサイクル性/ヒートショック性、薄肉流動性、耐熱性が求められるバスバー絶縁部品において、その優れた特性を発揮します。特に、絶縁の信頼性を上げるために金属をインサートし被覆させる工法においてはとりわけ最適な材料であり、東レはバスバー用途に多数のヒートサイクルグレードをラインナップしています。東レはお客様のニーズに応じた最適なソリューションを提案し、バスバー絶縁部品の品質向上と信頼性の確保に貢献します。
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