機器分析の事例

接着層を見える化 ~人の目では見えない変化を分析機器で知る~

もの と もの を結合するために、接着、溶着などの手法がとられます。これらの手法で結合したとき、見た目は接着しているように見えても、引張ると軽い力で剥がれてしまうものから、大きな力をかけても剥がれず、母材破壊するものもあります。剥がすときの力だけではなく、剥がす前にこれらの接着を見える化することができないかというご要望に対し、1つの事例をご紹介します。

接着のメカニズムはさまざまな説がありますが、一般的には、『物理的結合』、『化学的結合』、『機械的結合』があげられ、それらの1つまたは複数が合わさることで接着の強度が発現すると考えられています。今回は、この中でも『化学的結合』の見える化 をクローズアップします。

黒い樹脂と透明樹脂を射出溶着した試験片黒い樹脂と透明樹脂を射出溶着した試験片

右は黒い樹脂と透明樹脂を射出溶着した試験片です。それぞれの樹脂の界面である接着層を顕微鏡で観察しても、透明樹脂への黒い樹脂のにじみなどは確認できず、目で見ることのできる『色』では接着層を評価できません。

赤外線の吸光度合いの比較赤外線の吸光度合いの比較

今回は、機器分析の中の赤外分光分析を用いて分析評価を行っています。
右はそれぞれの樹脂の構造に着目し、特徴となる赤外線の吸光度合いを比較した図となります。上は、⿊⾊樹脂(A樹脂)に透明樹脂(B樹脂)を混合したもの(左)とB樹脂(右)を、射出溶着した試験片の赤外分光分析結果です。界⾯に虹⾊の層が確認され、この部分では、B樹脂にA樹脂成分がにじみこみ、接着層を形成していることを、⾚外分光分析から得られる『⾊』で評価することができます。
一方、下は、A樹脂(左)とB樹脂(右)をそのまま射出溶着したもので、その界⾯が明確であり、化学的結合の接着層が形成されていないことがわかります。

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電子デバイス部品の信頼性確保に大きく貢献!PPS樹脂と封止材の結合力を飛躍的に向上

電子デバイス部品には、半導体材料の封止材としてエポキシ樹脂やシリコーン樹脂が使われます。外装材となる高機能性の熱可塑性樹脂と封止用の樹脂を十分に接着させることが、部品の信頼性を高める上で重要です。

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放熱性・電磁波シールド性・気密性と軽量化を両立新たな製品作りに貢献する金属樹脂接合技術のご提案

金属と樹脂を一体成形することで、放熱性、電磁波シールド性等の金属が持つ特性と、軽量化、易加工性等の樹脂の特性を併せ持つ製品設計が可能になりますが、気密性確保が重要な課題です。今回は、この課題を解決する金属樹脂接合技術の概要、適用事例、今後期待される用途についてご紹介します。

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