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高電圧下の沿面距離を短縮する
耐トラッキング性に優れたPPS樹脂

自動車 xEV 小型化 省スペース化 電力設備 絶縁対策

次世代電動車(xEV)の市場拡大や、電費向上を目的とした機器の高電圧化の流れを受けて、バッテリー、コネクター、センサーなど各種電装部品の高電圧化、小型化、高耐熱化へのニーズが高まっています。こうしたなかで当社は、高い耐熱性を備えたPPS樹脂をベースに、最高レベルの耐トラッキング性を実現した樹脂素材を開発しました。

こんな課題で
お困りでないでしょうか

  • 複雑化する回路に対し、
    部品設計の小型化が急務
  • 高電圧、高温領域で高い
    寸法精度と絶縁性を確保したい
  • トラッキング破壊の対策を施し安全性を高めたい

東レのご提案

長期耐熱性、難燃性、耐薬品性で最高レベルを誇るPPS樹脂に
耐トラッキング性を備えた独自開発製品で、電装部品の設計自由度を高めます

ポイント1

CTI600V
(マテリアルグループⅠ)
の高い耐トラッキング性

ポイント2

高温領域でも
高い絶縁性を実現

ポイント3

独自のナノアロイ™︎技術で
強度・靭性を確保

沿面距離の確保が電装部品の設計の制約に

一般に電子回路は、絶縁体の基板上に導電体で回路を形成して作られます。しかし回路上での汚れの蓄積などをきっかけに、本来の想定とは異なる電気の通り道(トラック)が絶縁体表面に形成されることがあります。これによって回路が破壊される現象がトラッキングであり、回避するためには沿面距離を確保することが重要となります。
沿面距離とは、導電体間の距離を、間に存在する絶縁体の表面に沿って測った距離のこと。絶縁体表面にある凹凸なども含めて計測するため、表面に溝を掘るなどの手段である程度までは延長できます。しかし基本的には、回路が微細になるほど沿面距離は確保しづらくなり、こと高電圧下でトラッキングが起こりやすくなります。このことが電装部品の小型化や高電圧化の妨げとなっているのです。

PPS樹脂で高電圧部品に適した耐トラッキング性を実現

小型回路でトラッキングを防ぐには、トラッキングを起こしにくい性質(耐トラッキング性)を有する材料を絶縁体に採用するのも一つの方法です。
これまでパワーモジュールなど多くの電装部品に採用されてきた素材の一つに、耐熱性や難燃性に優れたPPS樹脂があります。しかし従来のPPS樹脂は耐トラッキング性に課題があり、高電圧下での絶縁体としての使用には適しませんでした。そこで当社は、PPS樹脂の材料処方設計から見直し、高い耐トラッキング性を備えた「東レPPS樹脂トレリナ™︎ A660HV」「東レPPS樹脂トレリナ™︎ A676ES1B」の2製品を開発しました。

材料の耐トラッキング性(CTI)について

微電流による樹脂のトラッキング破壊のメカニズムを示す図。1. 微電流による発熱。2. 発熱による樹脂分解→炭化物形成。3. 絶縁破壊

このうちトレリナ™︎ A660HVではPPS樹脂の高い耐熱性を活かしながら、ポリマー技術によりCTI600V※1(マテリアルグループⅠ)と最高レベルの耐トラッキング性を実現しています。またトレリナ™︎ A676ES1Bでは、CTIに加えて高温下での使用で重要となる耐ヒートサイクル性もバランスよく向上しています。

  1. CTI(比較トラッキング指数):物質の耐トラッキング性を示す指標。絶縁材料に汚染が存在する状態で、トラッキングを生じさせずに印加できる最大電圧で表される物質の耐トラッキング性を示す指標。絶縁材料に汚染が存在する状態で、トラッキングを生じさせずに印加できる最大電圧で表される

CTIの評価

試験片に電極を接触させ、間に一定濃度の電解液を落として回路の汚れを模す。通電して、トラッキングが起きた時点の最大電圧を測定する

性能比較

項目 トレリナ™ A575W20
低ソリ
耐冷熱
トレリナ™ A660HV
耐トラッキング
トレリナ™ A676ES1B
耐トラッキング
耐冷熱
高融点 PA
非難燃 難燃
耐電圧(高温) × ×
難燃性 ×
寸法安定性
耐冷熱性 ×
耐トラッキング性 ×
金属腐食 ×

(○:優れる、△:やや劣る、×:劣る)

製品ラインアップ

東レPPS樹脂トレリナ™︎ A660HV

ポリマー改質と特殊フィラーの採用により、CTI600V(PLCランク0)を達成したPPS樹脂です。また、当社独自の“ナノアロイ®”技術を活用することで、強度・靭性の低下も防いでいます。あわせて放熱特性も従来材料比で大きく向上しており、高温、高電圧下での沿面距離の短縮に貢献します。

東レPPS樹脂トレリナ™︎ A676ES1B

耐トラッキング性をCTI200Vまで引き上げるとともに、金属端子などインサート部品での使用を想定して、耐ヒートサイクル性を向上したPPS樹脂です。金属インサートのあるパワーモジュールやバスバー、端子台などに向きます。

主な用途

パワーモジュール

高圧コネクタ

端子台

導入サポート

当社では、EV化で重要となる構造解析などのシミュレーションや、各種分析の実施が可能です。「東レPPS樹脂トレリナ™︎ A660HV」「東レPPS樹脂トレリナ™︎ A676ES1B」の導入に際しても、これら分析に基づくソリューション提案が可能です。特に、高温環境下での反りや応力集中など部品挙動についての分析は、多くのお客様に利用いただいています。